上天草市・湯島 「フカ狩り」 -その2

 湯島沖はタイの一本釣りが盛んです。糸を手繰ってタイを引き寄せますが、その途中でサメがタイを食べてしまうということです。それで大正時代からこの時期にサメを捕獲するようになりました。



 いよいよフカ狩り当日。まだ夜明け前。前日、朝5時10分に旅館を出発するよう指示があったので、4時30分に起床しました。港の方角からもすでになにやら音が聞こえてきます。そして、ひときわ船のエンジンがうなる音が聞こえてきたので、部屋から海を見ると、クレーンのついた大きな船が出港していました。時刻は4時50分を回っていました。あとで気づくのですが、この船こそ今日フカ狩りをする県水産研究センターの調査船「ひのくに」(49t)です。
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 出発は午前5時30分。船の上から日の出を眺めました。
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 前日からハモやアナゴを餌にしたはえ縄を入れてある海域は、湯島の東です。すでにフカ狩りは始まっていました。潮風は冷たくはなく、心地よいほどですが、長時間あたるので長袖は必須、可能ならその上にもう一枚着たほうがいいでしょう。
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 右隅に見える船は報道陣の船。私たちツアー客と一緒にタレントの「KあんどK」(山内要&かめきち)が乗っているんですが、すかさず要さんが報道陣の船にこたえています。このシーン、他局でも夕方のニュースで報道されてました。
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 だだっ広い海です。まだ海をパノラマで撮る余裕があります。
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 というのも、待てども待てどもフカ(サメ)は“上がらない”のです。たまに小さいのが上がったりするのですが、船の上のテンションも“上がりません”。船上の人同士、“全然獲れんね”、“サメが上がらない時もあるらしいよ”、“昨年かなり獲れたから今年は…”とかなんとか話しています。
 しかし、ついに6時24分動きがありました。初めて大きなサメが上がったのです。船の上のテンションも上がりました。シュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)です。しかし、すでに海の中で力尽きて死んでいるものでした。

 その後6時半を回った頃から次々にサメが上がり始めました。生きているサメもいます。銛(もり)を打ちこみます。
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 丁字型の頭部が波間から見えます。サメを船の後部に寄せ、その頭部にひもをかけます。
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 そしてクレーンで釣り上げます。やはり人力では無理。人の背丈よりはるかに長い。
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 持ち上げる時も体をくねらせて抵抗します。
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 船に取り込んでからも暴れるようで、船上で大きな木槌を取り出す場面もありました。それはそれは迫力のある漁でした。
 今回上がったサメは全部で9頭。3メートル、200キロ以上の重さがあるものもいたようです。

 ただ、針にかかったすべてのサメを引き上げられるわけではありません。途中でばらしてしまうのを2度見ました。大型になるほど糸を食いちぎる力も強くなり、体重も300キロを越えるようです。

 恐るべしフカ。こんなのが有明海にも生息するというのがすごい。

 今回いつも一緒にいた感のある山内要さんとかめきちさん。こちらではよく知られているので、そのまま顔だしでもいいでしょうね。お二人はサメがかかっているのが分かると、絶秒なトークで盛り上げてくださいました。ただ時折仕事を忘れていちツアー客となって固唾を飲んで見ているので、撮影スタッフの方に仕事!と突っ込まれることも(笑)。
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 はえ縄をすべて引き揚げてしまう7時30分頃まで見学し、8時前には湯島に帰港しました。港では旅館の方々、地元の方々、小中学生が大勢で歓迎してくれました。上陸すると地元の方がちょうどサメの刺身を作っている最中でした。漁の途中でサメを受け取りに来た漁船が持ち帰ったものです。こういうものはこの場でないと食べられません。
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 しばらくすると調査船「ひのくに」も戻ってきました。そして次から次にサメを陸揚げしていきます。人々の熱気も最高潮。間近で見るシュモクザメはやはり大きいです。歯を切り取ってあります。この熱気あふれる場を撮影しようと大勢の報道陣もつめかけます。
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 桟橋に降ろされて間もなく解体が始まりました。早速サメ肉を取る人。
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 長崎大学の先生と学生たちは、学術調査目的でどんどん解体していきます。
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 この年配の男性はサメの尻尾の部分の肉を取っています。サメの肉はくせがあり、よく動かしている尻尾部分の肉が一番おいしいそうです。
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 この女性、長崎大学の准教授と他の方からお聞きしました。率先して実に手際よくお腹を開いて、調べるべき臓器とそうでないものを分けていかれます。とてもかっこよかった。
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 湯島の小学生たちはサメが降ろされた当初こそやや怖そうにしていましたが、見慣れた後は実にたくましい行動に出ます。サメのまだ動いている心臓を手にとって持ち上げてみたり、サメのお腹に入っていた仔を見せて回ったり、今時珍しい最高に素晴らしい子どもたちです。
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 私もサメに触れてみましたが、皮膚は鱗があるように見えず、とても柔らかでした。ただ表面を撫でてみると明らかに触感が違います。サメの皮膚の上で頭から尻尾のほうに指を滑らすとつるっとした感覚なのですが、逆に尻尾から頭のほうに指を滑らそうとしても強い抵抗を受けます。いわゆるこれが“サメ肌”でしょうか。

 私はこの滅多に見られない光景に感動を覚え、朝食をとるのも忘れて見入っていました。


 旅館の方々が港で準備してくださった朝食。もうツアーのほとんどの人たちは終わっていました。 
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 サメは新鮮なうちは刺身で食べることができます。それは今、ここでしかできない調理法です。また、湯引きという方法で食べることもできます。臭みも少なくとても歯ごたえのある肉でした。
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 このツアーに参加する場合、サメの切り身を持ち帰るための(できれば大きめの)クーラーボックスを持参する必要があります。目指すは尾びれ近くのよく動かしている部分。
 私は何を持ち帰ったか?実はなにも持ち帰りませんでした。小型の入れ物しかもっていなかったのもありますが、解体現場の強い臭いを嗅いだら、もうどうでもよくなりました(笑)。でも来年以降また参加する機会があるなら、ぜひ自宅でも食してみたいと思います。大型のクーラーボックスが必需品です。
 持ち帰った切り身の調理方法は、生姜醤油に漬け込んで臭みを取り、カツにして食べるのが良いようです。



 このあと通詞島沖にいるイルカの群れを見に連れて行ってもらいました。そしてイルカ・ウォッチングから帰ってきたのは正午前。桟橋では、旅館に置いたままだった自分の荷物を、旅館の方がわざわざ持ってきてくださっていました。感謝です。観光協会の方と旅館の方に見送られて帰途に就きました。
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 興味のある方は、来年も今の時期また催されますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。上天草市のホームページで紹介されますし、フカ狩りという言葉で検索すると見つけられるでしょう。今年の申込締切は6月1日でした。
 今回は上天草市が市町村合併でできて初めてのフカ狩りだったので、PRが少し不足していたようです。ツアー参加者は40名ほど、例年よりかなり少なかったようです。
 しかし、このフカ狩り、とても楽しめます。離島の湯島の魅力も十分味わえます。人の温かいもてなしも味わえます。来年も参加しようかな。


 後日談;この日のフカ捕獲数は大小合わせて9頭、逃げたフカは7頭だったそうです。

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