私たちのためにここにあるのかも


 うちは結構物持ちがいい方ではないかと思います。それでも熊本地震の日以来、まずは6年目の液晶テレビが転倒して壊れ(まだまだ使えたはずなのに)、20年近く使っている給湯器が故障し(現在は復旧)、10年目に突入した車も20万キロ目前で乗れなくなり(今は代車)、つい先日は二十四、五年になるガスオーブンレンジが何の前触れもなく突然動かなくなりました(でもその後なぜか復活!)。 そして、洗濯機もそろそろ限界か。これまた二十数年使っています。



 それで、某大手家電量販店に見に行くことにしました。今回は少し奮発して、ドラム式洗濯乾燥機を買うつもりで。でもこのタイプはまだ結構高いのです。



 店頭で説明を聞きながら、あるメーカーの中位機種に絞り込みました。仮にその機種をBとします。店員と交渉の末二度目に出た値段は、なかなかの好条件と思われました。ポイントが三万近く付いた価格。そして、こちらが何も言わないのに、紙に数字をすらすらと書いてくれます
 それでも、その場では即決する気はなかったので、一旦家に持ち帰って検討することになりました。家族会議の結果、ポイントを考慮すると某価格比較サイトよりかなり安いし、梅雨で洗濯物の乾かないこの時期、もうさっさとこれで決めようということになりました。



 同日後刻、買う気満々で店舗に向かいます。しかしちょっと待て。その前に別の大手家電量販店にも一応寄ってみようということになりました。

 すると、その店では、私たちが狙っていた機種Bは、考慮するに値しないほどべらぼうに高く、反対に上位機種Aが、ポイントは付きませんが、先の店で提示されたBの総額より少し高いくらいで購入できそうでした。二つの店の押しの機種が完全に入れ替わっていると思いました。一瞬迷いも生じましたが、私たちとしては、機能的にAは要らない、Bで十分。

 もうここではダメか、天を仰ぎ、何気なく後ろを振り返ってみると、通路の真ん中に置かれた洗濯機が目に飛び込んできました。なんとそれはB。先ほどまで全く気付かなかったけれど、展示用以外にBがなぜこんなところに?
 その箱には貼り紙が付いていました。なになに・・・一旦販売されたが、発注ミスのために、返品されたもの・・・。


 こ、これはいくらですか? 恐る恐る尋ねると、価格を調べてきますと言って店員は消えて行きました・・・。


 私たち夫婦は顔を見合わせました。これほどたくさんの種類があるのに、ちょうど狙っていたBが、なんでこんな通路に無造作に置いてあるの? あなたは同じ市内の系列店で一度販売され配達されたのに、そこではなくて、私たちが訪れたこの店に何故わざわざやって来たの? 「これって、もしかして、もしかして、・・・・私たちのためにここにあるのかも・・・・」と互いに言い合ったのです。何とおめでたい思考! しかも夫婦で仲良く同じことを考えていたのです。私たちにそう都合よく思わせるほどピッタリのタイミングでBが目の前に。

 

 しかし、戻ってきて提示された価格は、お話にならない価格でした。そこで私は、最初のお店でもらった紙をやおら取り出して、店員の目の前に置きました。店員の表情はその紙を取り上げると一変。真剣なまなざしで隅々まで食い入るように見、その数字を書き写し、何やらせわしなく電卓を打ち始めます。そのあとカウンターの奥へ走ります。そしてなかなか戻ってきません。


 やっと戻ってきて提示された額は、最初のお店で提示されたポイント分以上に現金値引され、リサイクル料・設置費込、長期保証付きの切りのいいポッキリ価格でした。某価格比較サイトもまったく足元に及ばないほどの価格。しかもクレジットカード使用もOK。


 即決!!!(すみません、最初の店の店員さん!)


 その洗濯乾燥機は、こちらが支払おうとしていた価格より随分安い価格で、見事我が家に来ることになったのです。


 私たちのためにそこにあった、はまんざら妄想ではなかったよう。実際こうやってうちに来ることになったんですから。


 効果的だったのは、あの最初の店でもらった一枚の紙。どうやらそこに書かれた条件、特にポイントが破格だったようです。その紙があったので、上司にも掛け合えたとのこと。この洗濯機こそ私たちにとっては「紙」、いえ「神」さまからの贈り物のようでした。


 震災後のこのうっとうしい梅雨、いくらかストレスが減りそうです。感謝。

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