緑と青の画家

 「東山魁夷: 自然と人、そして町」(Kaii Higashiyama: Nature, Men and Towns) に仕事が忙しくなる前の海の日に行ってきました。

 ここの展覧会、かつては車で行っていました。しかし渋滞に懲りて以来、途中の拠点まで車で、あとは西鉄を使って行くようになりました。おかげで駐車場のストレスから解放され、自分の好きな時間に自由に行け、これが結構楽ちん。駅から博物館まで歩くことになりましたが、脚を使うことに苦はないし、天満宮の参道は四季折々で違う景色を見られて毎回発見があります。九博手前の急坂は長大なエスカレーターや動く歩道があるので無問題。かえって博物館に入るまでの演出みたいなもので、ワクワク感を高めます。


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 ※ 以下の展示会の画像は九州国立博物館から提供していただいたものです。


 この超有名な画家のことを詳しく知っているわけではありませんが、実際に絵を見て一言でいうと、緑と青の画家、陰影の画家という感じでした。


 この画家との最初の出会いは中学国語の教科書。光村図書の教科書クロニクルというページで調べると、「風景との出会い」という彼の書いた文章が載せられていた時期があったようです。丸山公園の云々という文章だったように思います。



 画家になった転機が、戦時中、熊本城天守閣から見た景色だったということは初めて知りました。


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 今回一番見たかった「行く秋」(会期前半のみ展示)が見えます。緑や青が多い中、色調が珍しい絵。
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 事前に写真で見たときはとても魅かれたのですが、実物は失礼ながらちょっと期待はずれに思ってしまいました。近づいてみると何かぼやけたようでいまいち、画面に金箔が散りばめてありました。ほかの絵より遠目で見て美しく見える絵なのでしょうか。


 「夕静寂」。画面いっぱいの青。右上にわずかにやっと空が見えるので、奥深い山だとわかります。真ん中に滝がありますが、それ以外は青の濃淡で木々や山の奥深さを描いています。
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 この描き分けは根気のいるものではないでしょうか。感心してしまいました。


 そんな中で圧巻だったのは、「唐招提寺唐招提寺御影堂障壁画 濤声(とうせい)」。
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 右から大波が来ます。それは途中岩にぶつかり、左で岸に打ち寄せます。


 同じような青に陰影をつけ、波が本当に打ち寄せている迫力が観る者を圧倒します。
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 同じく目が釘付けになったのが、「唐招提寺唐招提寺御影堂障壁画 山雲」。
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 木の輪郭と雲のぼかし方が本物そのもの。よくわかりませんが、高度な技術・画力が必要なことだけは確か。ホトトギスが一羽、生きていて動いているものはこれだけ。何かを投影しているんでしょうかね。

 これらの障壁画は一見の価値あり、感動ものです。




 個人的にものすごく引きつけられた絵は「年暮る」(どのような絵か観たい方は、画像検索してください)。

 雪の積もった家々の屋根。寒さの中で身を寄せ合っているかのよう。牡丹雪が画面いっぱいに降っています。ある家の窓からは灯りが漏れています。静まりかえった中にも、人々の息遣いが感じられるようです。

 この絵に前に来たとき、その場を立ち去りがたく感じました。


 今回の企画も非常に興味深いものでした。


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