京都 心揺さぶられる滝の美

 北野白梅町で嵐電を降り、すぐさま路線バスに乗りました。バスはすし詰め。乗ったはいいが、料金を払うために前ドアまで行けない外国人は、とうとう後ろのドアから降りてしまいました。タダ乗りやん。バスの運転手もこの状態だと何も言えません。すし詰めは金閣寺前までのこと。私たちはもっと先まで行きます。そして「大徳寺前」で下車。

 この旅行の直前まで「大徳寺」なるものを知りませんでした。実際に来てみて、大徳寺とは広大な敷地を持ち、その中になんとか院という名前のたくさんのお寺が集まっている集合体だと理解しました。歴史上の有名人の墓所も多くあるようです。予習不足ですね。

PC040265.jpg
≪門前の民家の玄関に掛けられた暖簾。なかなかお洒落≫



 そして向かったのが「聚光院」(じゅこういん)
PC040284.jpg
 「創建450年記念特別公開」が今年の3月から来年の3月まで1年間限定で行われているのです。

 何の特別公開?

● 博物館から里帰りした襖絵を、実際に部屋に組み込んだ形で見られるというもの。それは国宝「花鳥図」(狩野永徳 筆)などの作品。

● それともう一つ、初公開の襖絵「滝」(千住博 筆)


 ただ、これを見るには予約優先です。しかし、この展示自体の存在を私が知ったのが、京都行きの前日だったので、予約なんてとっくに締め切られていました。あとは当日行って空きがあるならば、その場で予約して、いわば飛び込みのようにして鑑賞できます。しかも入られたとしても2,000円「も」必要。

 そんなハードルが高い特別公開を見ることを勧めてくれたのは、かかりつけ医でした。実は私は京都に行く前に体調を崩し、結婚式があるので何とかして欲しい、とそのクリニックに駆け込んだのです。その際、京都に行くなら、今しか見られないこれをぜひ見たらいい、と強く勧められました。ちょうど患者が途切れた時間帯だったため、博物館美術館好きの医師は、タブレットで「滝」の写真を私に見せてくれたり、院内に飾られている絵のところに私を連れて行って解説したりしてくれました(笑)。その医師のそれまで知らなかった意外な一面を見ました。




【飛び込み予約】
 果たして受付に行くと、受付スタッフは予約用紙をめくりながら、今日は3時40分からなら可能ですとおっしゃいました。見られる見られないはすべて彼女にかかっています。しかし、1名のみと付け加えられました。そう最後の一枠だったのです。

 「一名しか入れないだって・・・。ごめん!。俺に行かせて!」

 ここに行くのはもとは私から言い出したこと。快く妻は譲ってくれました。ここから先は別行動。妻は自分がもっと関心のある祇園へ行くことになりました。


PC040271.jpg
 さて、入場まであと2時間もあります。私たちはお昼を食べていなかったので、門前のお店で妻と共に遅いランチ。その後門前のお店をしばし一緒にぶらぶら。雪虫が飛んでいる!とは妻。これが雪虫か、もう雪の降る時期が近づいているのでしょうか。そうこうするうちに曇った空からついに涙が落ちてきました



【いざ鑑賞】
 3時30分に聚光院の受付に行くと、雨は本格的に降り始めました。予約者がどんどん集まってきます。一方、予約なしでやってきた人は断られています。断られた人を何人見たことか。

 2,000円支払い、パンフレットと黄色い札をもらいました。「百積庭」が見える建物に入った時から、撮影禁止。ここで靴を脱ぎます。庭に入ることも禁止されています。その表示もありますが、ここで初めて関守石の実物を見ました。関守石については、中学生用教材で読んで知っていましたが、実物を見るのは初めて。文字通り通せんぼするのではなく、この石から先は立ち入るべからずと無言で示すもの。いかにも日本的なものであり、個人的には自宅にでも置いておきたいもの。風流を解する人にしか気づいてもらえませんが。

 靴を脱いで上がった建物で荷物をすべて預けます。解説をメモするためのペンなども持ち込み不可でした。国宝に万一のことがあったらいけないからでしょう。

 これから40分ほどの見学です。荷物預けの場所にトイレがあるので、済ましておくことをお勧めします。ガイドが一人、グループの最後について来て見終わった部屋の扉を閉める人が一人付きます。



【国宝が眼の前に】
 まずは百積庭に面した縁側に、庭に向かって皆一列に腰かけます。庭園の垣根を超えたところに、千利休の墓所があるようですが、そこを見ることはできません。庭についての解説を聞きます。

 次に手前から各部屋の襖絵を見ていきます。その絵についての説明を非常に興味深く思いました。

 照明の限られた部屋の中の「国宝」は、雨の降る薄暗い空と同じように薄暗くくすんでいました。晴れた日に来たなら、見え方がずいぶん違っていたかもしれません。しかし、その配置の妙は非常に興味をそそられるものでした。最初に見た「瀟湘八景図」では、その左奥に山が描かれていました。その左隣の部屋にある「花鳥図」では、右奥(前の部屋の山のあった位置)から雪解け水が流れ込み、さらには中央の「蓮池藻魚図」にも流れているのです。その連続性と四季が描き分けられていることにうならされました。さらに襖絵を本来あるべき位置にはめ込んだ時に、セキレイ同士が空間を隔てて視線を合わせる様は、博物館の平面展示では決してわからないものでした。

 国宝襖絵46面を見た後は、ふたつの重要文化財の茶室を実際に見ながらの解説を聞きます。茶室横の縁側(廊下)は、建物側の半分が重文、庭側のもう半分がそうでないとの説明も面白かったです。板目の重文とそうでない部分をまたいで歩くことができます(笑)。

 そして最後に、そう最後に、私が一番楽しみにしていた千住博の大作「滝」を見ることができます。




【ついに滝が出現】
 目の前に広がった鮮烈な青の背景の中で落下する白い滝は、本物の滝のようであり、聚光院の静寂の中で、その水音が響きわたるかのようでした。ネット上で見られる画像より、青はもっとヴィヴィッドな青。これにはいたく心を動かされました。食い入るように滝を鑑賞します。他の拝観者が部屋を出はじめた後もできるだけその場に居たいと思うほどであり、実際に可能な限りそうしてしまいました。名残惜しくその場を後にしました。




【結論】
 2,000円、高いと見る向きもあるでしょう。私も最初はそう思いました。でも今は十分その価値はあると断言できます。ここに千住博画伯筆の滝の画像をあげられないのは残念ですが、興味のある方は下のリンクからぜひご覧ください。実物は思わず驚嘆の声が出るほど出来栄えです。感動間違いなし。近くに住んでいれば、一連の作品をもう一度2,000円払ってでも見たい・・・。今回の京都観光で最高の思い出になりました。




大徳寺 聚光院
創建450年記念特別公開
2016年3月1日~2017年3月26日


★千住博 筆「滝」のきれいで大きな画像を見ることのできるサイト
 INTOJAPAN

★動画も見ることができるJRのサイト。
 「そうだ 京都は、今だ。」

★拝観予約サイト
 京都春秋 ※終了しました

※ 予約について、次の方法があります。
◯上記サイトでのインターネット予約。拝観希望日の5日前締切。
◯拝観希望日の朝早くに現地受付に出向く。朝のうちに当日分の予約は埋まってしまうことが多いそうです。
◯希望日の前日に現地受付に出向き、翌日分の予約を取る。
◯当日受付でキャンセルが出るのを辛抱強く待つw。


コメント

非公開コメント