熊本城マラソン2015 激闘記 -最終章ー

 25キロ過ぎでとうとう走るのにも限界が近づいてきた感じでした。走りの一歩一歩で痛みがズキンズキンと襲ってきます。幸い、歩く分には衝撃が少なくて、まだいけると感じました。ここまできてリタイアはできません。歩けるところまで歩くしかありません。まだ6時間のペースセッターにも追いつかれていませんし、制限時間の7時間内でならたぶんフィニッシュできるでしょう。ここは思考を変え、もうひたすら歩くことにしました。しかしできる限り早歩きする!


 25キロ過ぎから31キロくらいまで、単調な折り返しの直線コースが続きます。ケガをして歩いていると、沿道からの声援が励みになることもありますが、同時にプレッシャーにもなるのです。何か走り出さなければならないような気にさせられます。それで私の場合、自然と道路の中央線寄り、声援から離れた場所を歩くことになりました。知り合いもいるかもしれないしね。歩いてもやはり痛みますが、走るよりは随分マシ。我慢できます。


 ひたすら直線を歩く、歩く。そうしていると折り返し地点の手前で、5時間のペースセッターとすれ違いました。なんかこの光景、見覚えがある。そうだ、去年の熊本城マラソンでも同じようなパターンだった。


 一直線のどん詰まり・折り返し地点の周辺は道幅が狭くなり、声援がより大きくなります。それでも走らずに、ひたすら歩く、歩く。途中、昨年利用したトイレの場所を通過。そう言えば今年はレース中一度もトイレに行っていません(※結局コース上では一度もトイレを利用しませんでした)。折り返し地点を回って随分歩いたところで、対向車線に6時間のペースセッターが見えてきました。自分は歩き、あちらは走り。そんな状態でも、ペースセッターに追いつかれたくないとまだ考えている私。25~30キロのラップタイムは45分台でした。キロ9分前後、時速にすると、えーっと時速6.7km。


 このあとの5キロごとのラップタイムは次の通り。

 30~35キロ 44分台
 35~40キロ 43分台

 だんだん早くなっていました。痛みに少し慣れたのもあるでしょうが、面白くなってきたのです。何がでしょう?


 歩いているからこそ見えてくる光景があるのです。先ほど私を追い越して行った人が、あとで再び私を追い越してゆく・・・。そんなうそのようなことが何度も何度もありました。つまり、歩いている私が途中でその人をいつの間にか追い越しているのです。考えるに、30キロ過ぎのこの区間、ランナーは走って私を追い越して行ったとしても走りが長続きせず、どこかで歩いてしまう。そこを早歩きの私がいつの間にか追い越してしまう。そしてその人がまた走り始めて私を追い越す・・・・、この繰り返し。この時間帯にこの区間を走っている人の場合、走るのも早歩きも大して変わらないというのが見えてきました。また、早歩きをしている限り、走っている人との距離はそんなに開かないのです。それほどランナーは疲れているのです。そんな様子を観察していると、痛みはあるものの、自然と早歩きのスピードもあがるものです。“歩き”が“走り”を追い越したれ!そんな気持ちになってくるのです。


 そういえば、早歩きといえば、2年前八代スリーデーマーチ40キロウォーキングで、早歩きの達人と競い合い、やむなく走りという姑息な方法で勝った(笑)ことがあります。途中それを思い出しました。ウォーキング大会の経験が今生かされているのか。あ~ぁ、今となればあの達人に感謝!


 フィニッシュが近づくにつれ、ますますランナーは疲れています。へとへとになってよろよろと走っているランナーの脇を、早歩きで追い越す意地の悪い“喜び”。しばらく前に私を抜いていったランナーに歩いて追いつき、追い越します。40キロに近づくにつれ、6時間のペースセッターにもう追いつかれないと確信し、フィニッシュ時刻を大胆にも予測するほどになりました。


 腕を大きく振って、肩で風を切るかのようにガンガン歩きます。そして、ついにあと1キロの看板が見えてきました。ここはあの魔の急坂。昨年はへとへとになって歩いて登りました。でも今年は去年よりはるかに元気です。とぼとぼと歩いている人をどんどん抜きます。そして、坂を登り切った所で、それまで溜めていた力を解放し、フィニッシュまで走ることにしました。痛いよ、けれどあと数百メートル、何とか持ってほしい。


 どんどんランナーを抜き去ります。痛快!そして最後のお城の中に入る急坂。駆け上がりましたが、途中痛みで失速し、一時的に歩きに。なにくそ!

P2150019.jpg

 そして角を曲がれば、最後の一直線


 再び力を込めて走る!



 すると先ほど抜いたはずのコスプレーヤーが、真横に来ているのが視界に入りました。


 ギアチェンジ!


 ぶっちぎりの加速!(と本人は思う)


 横にいたコスプレーヤーは視界から消え去りました。


 と、同時に腰の痛みがピークになり、完全に壊れていきました・・・


 フィニッシュゲート通過。


P2150020.jpg


 激闘が終わりました。序盤のリタイアの危機を乗り越えて、何とかフィニッシュまでたどり着きました。


 記録はネットタイムで5時間30分を切りました(30分切り、ちょっと狙いました)。あんなに苦しんだのに、昨年から15分ほどしか遅れていない意外なタイムでした。あの危機的な状況で、よくやったと褒めてやりたいです。でも、序盤からスリルのあるこんな経験は二度としたくありません。


 でもフィニッシュゲート手前の行動、バカでした。大人げないのは分かっていますが、そうせざるを得ませんでした。あとで家族に叱られました。古くからの友人には、あんたらしい、と言われました。


 途中でサポートしてくださったN先生にはひたすら感謝です。先生がいなかったら、もっと苦しんでいたでしょうし、完走できたかどうかさえも分かりません。せっかく1万円払って参加したのに、それが1万円の高いバス代(棄権ランナーを収容するバス)にならなくて良かった。


 来年? きっと申し込むでしょうね。なんとかフィニッシュしましたが、不完全燃焼です。だから、今年は昨年よりも達成感が少ないんでしょう。ただ、アクシデントはありましたが、確実に体力・走力はついてきているとも思いました。一度でいいから4時間台を出したいという気持ちは今も強くあります。でも、もう自分の年を考えると、タイムばかりにしがみつくのもなんですので、ゆくゆくは楽しく健康的に走りたいとも思います。仮装の道ってのもあるのかも。(@_@;) 
 

 

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▼ 翌年の熊本城マラソン2016は残念ながら落選しました。代わりにといっては何ですが、同日開催の「北九州マラソン」には当選しました。
そこでサブ5を目指します。 ⇒ 「北九州マラソン2016 完走記 前編」



 

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